【誤情報】日本の水道水の塩素濃度は世界一って本当?【水道水の真実】 2025年02月01日

こんにちは。
全館浄水システム「最上清流」の江﨑です。
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▼日本の水道水の塩素濃度は世界一?

『日本の水道水は食中毒にならないだけで塩素濃度は世界一!』

『日本の塩素濃度はアメリカの10倍の高濃度!』

『日本の水道水は世界最悪!』

 

こんな感じの『日本の水道水は危険だ!』という記事をSNSなどでたまに目にする事があります。

『世界の水道水の塩素濃度』

などのキーワードで検索すると

こんなグラフも出てきました。

 

 

2つのグラフを見比べてみると
アメリカの塩素濃度の上限値が

上のグラフでは0.5mg/Lで

下のグラフでは0.1mg/L以下となっています。

すでにおかしい。

その他のサイトも見てみると

『世界では塩素の添加量を0.1mg/L以下と決められているのに、日本だけは0.1mg/L以上添加すると定められているから、日本人は世界の10倍以上の塩素が含んだ水道水を飲まされている!けしからん!』

という記事も目にします。

 

これが本当なら日本は相当ヤバいです。
世界の基準は0.1mg/Lっていうのは本当なのか?
日本の水道水の塩素濃度は異常で本当にヤバいのか?
しっかりと調べてみました。

※今回のブログは、正しい情報を掲載したいので、根拠となる法令などもできるだけ詳しく掲載しました。

▼日本の水道水の残留塩素

まずは日本の水道水について確認します。

 

日本の水道水は、衛生面から遊離残留塩素による消毒を行っています。水道法(厚生労働省HPより)に基づいて蛇口での塩素濃度(遊離残留塩素濃度)が0.1mg/L以上保持することが定められています。

給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg/l(結合残留塩素の場合は、0.4mg/l)以上保持するように塩素消毒をすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水の遊離残留塩素は、0.2mg/l(結合残留塩素の場合は、1.5mg/l)以上とする。(水道法施行規則第17条第3号)

↑ちなみに2025年現在の日本国内では結合残留塩素での消毒をしている自治体は無いそうです。

 

下限だけが決められていて、上限が無いので

『日本の水道水の塩素濃度は入れ放題!』

と大げさに言われていますが、塩素の濃度が高いと味やにおいに影響を与えます。早い話が不味くなるので、快適に水道水を使えるための指標として、蛇口での残留塩素濃度の上限を1mg/L以下に抑えるという水質管理目標値が設定されています。

この目標値は自治体によって異なり、東京都水道局さんでは「おいしさに関する水質目標」を独自に定め、残留塩素濃度を必要最低限の0.1mg/L以上0.4mg/L以下としているそうです。

 

ついでに、東京都水道局のホームページでは今日の水道水の塩素濃度が公開されていて、2025年2月1日は平均0.39mg/Lに保たれています。

 

<まとめ>

日本の水道水の残留塩素濃度については

蛇口での遊離残留塩素濃度が0.1mg/L以上保持する事が義務付けられています。そして、蛇口での遊離残留塩素濃度の上限を1㎎/L以下に抑える目標値が設定されています。

※多くの自治体で実際の塩素濃度をホームページ上で公開しています。

▼WHOのガイドラインと報告書

世界の国や地域が水道水の水質基準を策定する際に

参考とされている資料が

WHO(世界保健機関)が発行している

WHO 飲料水水質ガイドラインです。

 

WHOの飲料水水質ガイドラインでは

生涯にわたり水道水を飲んでも人の健康に影響が生じない塩素濃度として

遊離残留塩素濃度5.0㎎/L以下と定められています。

また、効果的な消毒のためには、pH <8.0 で少なくとも 30 分接触後の遊離残留塩素濃度が0.5mg/L 以上であるべきとされています。

 

2018年に世界の125の国や地域の水質基準を調査してまとめられたWHOの報告書

世界の飲料水水質に関する規制・基準の設定状況』によると

 

125の国・地域の中で

・規制又はガイドライン値を設定している国・地域の数は59

・WHO ガイドラインと設定値が等しい国・地域の数は11

・WHO ガイドラインよりも設定値が低い国・地域の数は48

・設定値が1.0mg/L 未満の国・地域の数は24

 

最大値は5.0mg/L

最小値は0.1mg/L

中央値は1.0mg/Lでした。

▼アメリカの水道水の塩素濃度の基準

アメリカにおいて日本の水道水質基準に該当するのは

米国環境保護庁(EPA)が設定した

第1種飲料水規則(National Primary Drinking Water Regulations:NPDWR)

第 2 種飲料水規則(National Secondary Drinking Water Regulation:NSDWR)です。

 

遊離残留塩素は 0.2 mg/L 以 上(結合+遊離残留塩素は 0.5 mg/L 以上)、上限は 4.0 mg/L 以下となっている。

 

広大な国土を有するアメリカでは、配水エリアが広範囲に及ぶため、大規模な水道事業体においては、遊離残留塩素での消毒ではなく、結合残留塩素による消毒を行っている自治体が増えているそうです。

 

ちょっと古い資料ですが、鹿児島市水道局のアメリカ視察の報告書に詳しく書かれていました。

 

『アメリカの水道水の塩素濃度を測定したら0.1mg/L以下だった!』

と勘違いする人もいるようですが

一般的な塩素試薬は遊離残留塩素を測定する試薬です。

アメリカの多くの都市で採用されている消毒の結合残留塩素(クロラミン)は試薬に反応しないので、『塩素が含まれていない!』と勘違いしてしまったのでしょう。

安心してください!ちゃんと塩素消毒されていますよ!

 

<まとめ>

アメリカの水道水の残留塩素濃度は

0.2mg/L以上4.0mg/L以下。

ネット上で見かける

『アメリカの水道水の残留塩素は上限値0.5mg/L以下』

『アメリカの水道水の残留塩素は0.1ppm以下』

というのはどうやら間違った情報のようです。

 

ちなみに、かなり古いデータですが

アメリカの浄水場の1995年頃の遊離残留塩素は

平均1.74mg/L(最大3.33mg/L 最小0.85mg/L)

これが現在も続いているわけではないと思いますが、ご参考までに。

▼イギリスの水道水の塩素濃度の基準

イギリスの水道水は遊離残留塩素による消毒が行われています。

ロンドンの浄水場のホームページを確認すると

浄水場から配水する時点の塩素濃度は約0.9mg/Lとされているようです。

実際の水質検査結果も公開されており

残留塩素濃度の平均は0.55mg/L(最大0.87mg/L)

だそうです。

 

<まとめ>

イギリスの水道水の残留塩素基準の具体的な法令は見つける事はできませんでしたが、遊離残留塩素や結合残留塩素による消毒が実施されているようです。

▼オーストラリアの水道水の塩素濃度の基準

オーストラリア飲料水ガイドライン (ADWG) によると

理想的な水道水の遊離残留塩素濃度がは0.2 ~ 0.5 mg/Lとされていて、5.0mg/Lを超えてはいけません。

浄水場では一般的に2~3mg/Lの塩素が投与され、0.2mg/L以上を保持する事が望まれています。通常は0.5~1.5mg/Lの範囲で供給しているようです。

 

<まとめ>

オーストラリアの水道水の残留塩素濃度は

0.2mg/L以上、5.0mg/L以下が望ましい。

▼その他の国について

フランスの水道水の消毒は塩素やオゾン、紫外線殺菌などで適切な処理を行っていますが、日本のように具体的な塩素濃度の基準は法令上明示されていないようです。

フランスやドイツなどは給水人口 500 人以下の小規模水道が多いため、残留塩素を減らして管理する事ができているようです。

ドイツは基本的には塩素消毒はせず、水源の地下水に雑菌が繁殖した時に限り0.3mg/Lを上限として塩素消毒を行うそうです。

ヨーロッパでは塩素消毒を行わない国、塩素消毒を行う国があるようです。

▼世界の水道水の塩素濃度「まとめ」

様々な国の水道水事情を調べると

『日本の水道水の塩素濃度は世界一』

というわけでは無い事がわかりました。

 

わかりやすいように表にまとめてみると

水道水が飲める国でも

その環境はまったく違うわけで

その中で各国がそれぞれの考え方でお水を守っている事がわかって凄く面白かったです。

 

地下水由来の水道水の国では

塩素消毒を行わずに菌の不活性などで管理していたり

塩素消毒を最小限に抑えている国が多く

日本やアメリカ、オーストラリアのように地表水由来の水道水の国では

しっかりめに塩素消毒を行っている国が多いようです。

 

そんな中で、日本だけが唯一塩素濃度の下限を厳密に定めています。

SNSでは何だか悪い事のように書かれる事も多いのですが

これって実は凄い事ではないでしょうか。

遊離残留塩素は殺菌力があるのだけれど、持続性が低い。

特に、水道管などが老朽化していたりすると、

遊離残留塩素はすぐに反応してしまい

殺菌作用が消えてしまいます。

そのため、遊離残留塩素による殺菌から、殺菌力は低いけど持続力が高いクロラミン(結合残留塩素)での塩素処理に切り替えている国や地域もあります。

 

しっかりとした管理で遊離残留塩素の下限を決めて管理している唯一の国、日本。
素晴らしい技術だと思うのは私だけでしょうか?

 

〈余談〉

今回、いろんな国の水道水を調べていたら

『アメリカの水道水は最悪だ・・・!』

『オーストラリアの水道水の塩素の害・・・!』

などという浄水器屋さんのサイトをたくさん見かけました。

自国の水道水を悪く言って浄水器を販売するのは

どの国にもいるのだなあと思いました。

 

『日本の水道水の塩素濃度は世界一!』

という謳い文句で浄水器を売りつけようとするセールスマンには

今後は騙されないようにしましょう!

 

※もし、この記事の内容で間違いやご指摘などがありましたら、是非コメントお願いします。画像なども少しずつ追加して、この記事は今後も育てていこうと思います。

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